ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会への参加の御案内
ハイパフォーマンスコンピューティングは直訳すれば高性能計算ですが,この「高性能」は単に高速度であるという意味に留まらず,精度,利用技術,表現技術等といったコンピューティングシステムの高度な要素技術をすべて含むものと考えます.他の研究会との差異は,本研究会で扱う対象がシステム化を目指したものであり,純粋に要素技術を対象といるにではないという点です.例えば,アーキテクチャ研究会は現在,プロセッサ設計の要素技術から試作並列計算システムの評価まで幅広く対象としていますが,システム化を目指した部分の評価等に関しては本研究会で横断的に扱いたいと考えています.キーワードとしては高性能計算のためのシステム化技術を対象とした研究会です.
取り扱う研究分野
以下の分野には限りませんが、特に:
- 数値計算と数値シミュレーションの基礎理論と実際
(モデル化,離散化手法,アルゴリズム,標準ライブラリ,数値表現,高精度計算,品質保証)
- 高速・高性能計算用アーキテクチャシステムの利用技術,性能評価,と提言
((超)並列・分散処理,ベクトル処理,ワークステーション,実験システム,スーパースカラ,キャッシュ,メモリーアクセス)
- 計算と計算機を結ぶ技術の利用方法と提言
(プログラミング言語,最適化,データ配置,マッピング,可視化,デバッグツール,性能評価モデルと実測,その他)
これまでの経緯
−−− NA から HPC へ −−−
本研究会は、数値解析研究会から発展し発足しました。 数値解析は計算機利用の中で,最も長い歴史をもつ分野のひとつですが、他の研究発表機会の増加という事情があり,「情報処理学会」の研究会活動が相対的に沈滞化しておりました。しかし、「数値解析」という重要な分野の必要性が小さくなっているはずはなく,スーパーコンピュータ,超並列計算機,高性能ワークステーション等の出現によって,数値計算・シミュレーションの科学・工学における重要性は以前にも増して大きくなっています.計算機による計算・シミュレーションなしでは仕事が出来ない分野さえ現れています.そこで,この分野をどのように扱っていくかを研究会の幹事,連絡委員の方々と半年近くにわたる協議を行いました.
その結果,
- 数値解析という分野は情報処理研究の今後においても重要であり,廃止すべきでない.
- 情報処理学会における研究会としての特徴を出すべきである.
- 情報処理技術の新しい流れが取り込めるような研究会とすべきである.
- 対象範囲を広げて多分野との交流が積極的に行えるようにすべきである.
- 誰でも参加討論できる雰囲気の研究会とすべきである
といった意見が概ね合意されました.
上記のことを概括する研究会の名称を「ハイパフォーマンスコンピューティング研究会」と決め,名称変更し、情報処理学会調査研究運営委員会での承認手続き後,ハイパフォーマンスコンピューティング研究会として,再出発しました。
運営方針と予定
本研究会では計算を行なっていく上で重要な要素を対象とし,各要素を有機的に結びつけることを目指します.例えば,計算の内容を知らずに良い計算機アーキテクチャを作ることは不可能ですし,逆に,計算を行なう者がハードウェア的な制限を知らずに,実現不可能な計算機アーキテクチャを設計者に要求することも,不毛なことです.設計者と使用者がお互いに相手を理解して初めて,建設的な仕事が可能になります.これは1つの例ですが,本研究会では目的にとって重要な要素に積極的にアプローチしていきたいと考えています.そのためには,他の研究会との交流が有効です.今後,多くの研究会と交流を進めていきます.
多くの方々が参加したくなるような研究会にしたいと考えていますので,興味を持たれた方々の積極的な参加をお願いします.
IPSJ SIGHPC Page, Last Change: Sep. 19, 1995 / msato@etl.go.jp